石黒正数「ネムルバカ」

 読んだ。つーかついさっき読み終わった。めちゃくちゃ面白かった。面白すぎて一人で部屋ん中で踊ってた。へいへいへいとか言いながら。
 なんと言ってもラストがすばらしい。
 例えば巧妙に伏線を張り巡らせてラストで美しく回収しカタルシスを生む、というタイプの作品があります。「ネムルバカ」はその系統ではありません。終わり方としてはかなり飛躍している。でもその飛躍のさせかたがとても気持ちいい。
 最初からこういう終わり方をさせる予定だったのか、あるいは雑誌連載が打ち切りになってこういう終わり方になっただけなのかは分かりません。作者はもっと描きたかったのかもわかんない。違うエンディングの構想もあったのかもしれない。その辺の事情はわかんないんだけど、でも、正しいエンディングだったんじゃないかしらん。いつかは終わりが来るから「この日常」は尊い。作者の構想通りなのかどうかはわからないけど、だらだら長期連載しなかったのはこの物語にとって正しい選択だったと思う。
 あと痛い系の青春ものとしても面白い。リアル大学生は身に詰まされるところが多いんじゃないかな。ぼくはまさしくリアル大学生なんで痛かったですね。