短歌

ゴキブリ

ゴキブリを叩き潰したスリッパで足を守って快適な日々

紅しょうが山盛りにして牛丼を食べるそういう罪の肯定

なん

何の肉使ってんだかわからねーハンバーガー食う自殺のススメ

「生きるため手首を切った」「死にたいとつぶやくために息を吸ってた」

君の吐く

君の吐く悪意まじりの空気すら読まずに吸って私は生きる

あなたから落ちる涙の重たさを受け止めたくて腕立ての日々

ゆるせない

ゆるせないことしかなくてトーストにジャムとバターを塗りたくってる

地図

地図にない街にふる雨 ぼくたちは盗んだ傘に守られている

死にたさを

死にたさを死ぬまで競い合うレースから降りれずに死ぬまで生きる

さよなら

さよならが三番線にすべりこむ君はのりこむ僕はとびこむ

ぼくたちのあいだに流れる沈黙の音は意外と心地よかった

手を振って

手を振ってホームを走る 青春の真似事をして見送る電車

まだ夢は終わってないとつぶやいて死にぞこないの青春を抱く

神様

神様は歌声だった 夜明けまでLとRにすがる信仰

大空

大空へ飛び立つことを夢に見て瞳に青を映す猿ども

ぼくたちのあいだに横たわっている溝にせーので飛び込んでみる

サイダー

サイダーが痛くて苦手だったので痛い言葉が呑み込めません

友だち

友だちの愛と勇気に裏切られアンパンに手を出したヒーロー

からまった

からまった糸はグロくてぼくたちの繋がりかたに似てると思う

人間

人間のクズにはお似合いゴミ箱を妊娠させた責任をとる

帰宅部

帰宅部のエースを目指す青春の遠くでブラスバンド部の音

もう

もう君の夢も見れたしベッドから飛び降り自殺してもいい夜

一月

一月になったのにまだクリスマスツリーがあった、みたいな出会い

絞首台

絞首台から飛び降りて自殺したあなたの遺書は読む気がしない

下ネタで盛り上がる女子 聞いてないふりをしていた教室の隅

ハンマー

ハンマーで君の頭を何回も殴ると死ぬと殴って知った

渡辺

渡辺が飛び降りたあと渡辺が無かったことになった教室

清濁

清濁を併せ呑んだら悪酔いし吐かないように口を閉ざした

用もなく

用もなく開けた冷蔵庫の前で突っ立っている夜の真ん中

このあいだ

このあいだ落とした愛が探せない雪がこんなに積もったせいで