短歌

なにもかも自分のせいにする彼と世界を呪う彼女の相似

三階に二階堂氏は住んでいる幻滅される覚悟ならある

八月のいい気になった太陽を殴り飛ばしに行きましょう、NASA

わたしもう決めたこれからスクリーンセーバーだけを眺めて暮らす

君が吐く悪意まじりの空気すら読まずに吸ってぼくは生きてく

宝物だと思ってたがらくたをそれでもしまう宝箱へと

学校

学校で教えてくれないこともある例えばガムをふくらますコツ

敬虔

敬虔なエコロジストは性欲の処理をサンプル動画で済ます

解説

解説のついてる文庫 排泄後拭いてるうんこ 爆ぜる春光

思い出のゆくえをだれも探せない 紐のちぎれた新潮文庫

学校で教えてくれなかったから呼吸のこつをだれも知らない

オナニーに関して手抜きしたことはありません手で抜いているけど

「美少女に自分を仮託することであそこを硬くさせてるってか!」

かなしみがなかったことにされていくエンドロールにのらない役者

左側すべての心が開きますもたれかかっていると落ちます

吊る吊らない吊る吊らない花びらを散らして決める首のゆくすえ

めずらしい形めざしていじってた。手垢まみれの言葉になった。

カーテンに生まれ変わって暮らしたい風に吹かれて死んでいきたい

図書館に行けばだいたい会えるから楽だよ俺を攻略すんの

新鮮な素材の味を殺したいすべてを鍋に放って煮込め

ぎょ

行間に割り込まないでくださいと声をからして栞は叫ぶ

死んだふりしてりゃいいやと棺桶の中に逃げこんだら燃やされた

ぬくもりの死骸はいまも助手席に散らばっていておけない鞄

じゅ

呪詛(または詩にはむかない言葉)しか知らない僕も歌っていいか

この星はきっとだれかの睾丸でぼくたちはまだ生まれていない

いけにえを捧げあうのが流行ってた子どもの頃も大人の頃も

粉々に打ち砕かれたプライドはごはんにかけろふりかけとして

立ち止まるぐらいだったら迷走を肯定したい風の強い日

完璧はありえないこといつだって視界に映る鼻の先っぽ

正しさ

正しさでできた鎧は重すぎて身につけたまま動けなくなる