短歌

息を吸い今ここだけを生きのびる過去も未来も置き去りにして

テレビっ子という言葉の内側に放送禁止用語がひとつ

腐りたい腐りたいって呻いてた青い果実を砕くミキサー

物事の表面だけを眺めれば呆けた俺の顔だけ映る

ふつおたのコーナーでしか読まれないハガキ職人たちのゆうぐれ

黒と白だけが置かれた盤上にどちらでもないきれいな悪手

ハッピーもバッドも拒め赤と青いっしょに切ってむかえるエンド

叱られるすごく嫌いだほめられるとても苦手だブランコをこぐ

許すふりすごく上手になりましたばかって言ったほうがばかだよ

実と皮の境目わからなくなってすり減っていくだけのにんじん

なんにせよトイレに行くし(光あれ)いずれにしてもごはんは食べる

あきらめたときだけ見れるものもあり私は傘を盗まれなくちゃ

内側がどちらなのかはわからないままで下がった線の内側

私たち恐れることを恐れない震えて響く開放二弦

避妊具に優しく穴があいていて私ははやく殺されなくちゃ

割り切れることなどないということを割り切っていくペダルをこいで

122キロバトルを抱きかかえ澄ました顔のひとりとひとり

あるとでも思っていたか用もなくあけた冷蔵庫に真実が

差別的意図をたっぷりふくませて愛していると叫んでいたい

さようならゆとり教育ぼくたちは青春らしきものを蹴飛ばす

満員の電車が止まるその前に押してもいいよ白い手袋

盗まれた傘のゆくえをだれひとり知らない生きる意味と同様

引かされた貧乏くじを握りしめ空っぽの手じゃないと言いはる

傷口に塩とコショウを塗りこんで味をととのえ舐め合っている

12

12:00に世界は終わるしかたなく午後の紅茶を午前に飲んだ

かしこさが1あがるたび冒険は終わりに少し近づいている

あとがきを先に読まないあめ玉を噛み砕かない自殺をしない

2

2152年の教室にクローンたちの代返の声

白黒のテレビに映る虹をただ眺めることに似てるね、祈り

りょ

両性を愛せる時間旅行者がアダムとイヴと3Pしてる