キングオブコント2012

 すごく面白かったです。ひと組ずつ感想を。

 さらば青春の光。1本目。数の単位の面白さって、”ごうがしゃ”とか”あそぎ”とか、語感そのものの面白さもさることながら、「あれって上の方に行くとちょっとおかしくなるよね」という、あるある的な要素も含んでいるのかな、とウケ方を見て思いました。トップバッターであれだけしっかり笑いを頂いていたのが凄いです。2本目。面白い。大好きなやつです。

 銀シャリ。1本目。ツカミを失敗していたのが残念。でも、橋本のツッコミの言い回しは相変わらず面白いです。個人的には、「僕が警察です」のような、狂気性を感じる要素がもっと欲しかった。

 トップリード。翌日のラジオが最高でした。

 うしろシティ。1本目がものすごく好き。単純に個人的な好き度なら一番かもしれません。

 かもめんたる。一本目。腫れたまぶたの執拗かつグロテスクな描写で引き込んでいき、その後も「愚突」という絶妙な造語、「猿の角膜」「座右の銘が後の祭り」など、独特の言葉遣いで世界観を構築していく。「やだよー!」で爆笑しました。面白かったです。2本目。オンエアバトルで披露していた時から好きなネタ。「お疲れ」という言葉の使い方が白眉なのは言うまでもなく、後半の「蛇が出」る展開も面白い。

 しずる。1本目。ツカミが最高です。あれ一発で、見ている人全員に、「能力バトルもののパロディ」だと分からせる凄さ。あと、池田のあのキャラが面白い。2010の傑作「シナリオ」に出てきたあいつを彷彿とさせる。2本目。初見のときは1本目とテイストが違いすぎていて、期待値を下回ってしまったような印象を受けたのですが、見直してみたら面白かったです。

 夜ふかしの会。1本目。すごく面白かったので、点数が低くてびっくりしました。「お前らはこのムラの住人じゃないよね?」という、芸人審査特有の排他性を感じます。審査員の芸人らが、夜ふかしの会に悪意を抱いているから点が低かったんだ、みたいなことが言いたいのではないです。そうではなく、ある種の集団心理が働いた結果のあの点数なのではないか。

 バイきんぐ。「ツッコミとは客の感情の代弁」だとよく言われますが、小峠はそれを見事に体現しています。言葉の選びも間の取り方も、いちいち的確で痛快です。年齢と芸歴を重ねているがゆえの味わい深い佇まいも、面白さに貢献しています。優勝おめでとう。ただ、性転換したことを「禁断の果実に手を出す」と表現していたのは少し引っかかりました。「禁断」という言葉を使ってしまっていいものなのかどうか、と。

 バイきんぐの優勝に特に異論はないのですが、キングオブコントが「脚光を浴びていないベテランを世に送り出すための大会」になってしまっているのは、正直少し不満です。さっき、芸人審査ゆえの集団心理が働いてる、と言いましたが、ここでも同じことが言えるでしょう。苦労している人たちに報われてほしい、という芸人らの願いが強すぎるあまり、ベテラン有利の空気が確かに存在しています。若手が優勝している光景を想像できないのです。
 実力さえあれば、無名でもフリーでも決勝に進出できる「夢と希望の詰まった大会」(夜ふかしの会)であることは、今回のファイナリストたちが証明してくれました。どうか決勝の舞台でも、若手だろうが何だろうが面白ければ優勝できる、そんな大会であることを望みます。